閑話休題

Open Innovation

 令和元年、新しい時代と共に私たちも新しい価値を見出すべく具体的な施策を実行に移して参ります。

 日本のモノづくりを支えてきた中小企業は、社会環境の変化に伴い非常に厳しい経営環境にさらされています。中小企業が生き残るためには、大企業にできない小回りの利く技術とサービスを提供することだと言われるが、何をどのようにすればいいのか具体的な施策は明らかではありません。
 スキマを狙ってニッチトップを目指そうとするが、知識、組織、資金、そして情熱に限界がある中小企業では、成功確率は非常に低いと考えられます。

 科学有意主義であるリニアモデルが一時代を築いたが、IT産業の隆盛により構造変化が起こり、このリニアモデルが機能しなくなりました。つまり同一企業内で全てを行いその利益を独占できるリニアモデル、言い換えれば中央研究所という考え方の終焉です。 このように自前主義が崩壊したことにより、タテからヨコへの産業分野横断型への変革が進むことになるが、大組織でのヨコへの変革は様々な思惑により進みにくいのではないかと思います。むしろ、イノベーションを起こしうる創造的破の過程を実現しうるのは中小企業ではないでしょうか。
 クリヤマ技術研究所という非常に小さな組織が創造的破壊を成すためには、どのような方策が考えられるか、小さな組織故の可能性を見出す必要があります。

 Henry W. Chesbrough,Wim Vanhaverbeke,Joel Westらはオープンイノベーションを「意図的に知識を流入・流出させることにより社内のイノベーションを加速化し、同時に社外でのイノベーションの活用に向けて市場を拡張する活動」であるとしています。
(参考文献:Open innovation:Researching a new paradigm 2006)
 私たちが創造的破壊を実現するための可能性はここにあるのではないかと考えています。

 クリヤマグループ、王子ゴム化成グループはグローバル展開を進めており、効果的なネットワーク構築が急がれるところです。グローバル規模で様々な情報を適切に収集・利用するには、効果的なナレッジマネジメント戦略が不可欠だろうと考えます。効率的に運用するためには企業文化の変革はもとより、技術面での役割を研究所が担う必要があり、そのための戦略・戦術を確立すべきだろうと考えます。

2019年05月01日